税金の申告や納付が遅れたらペナルティが発生するということは何となく知っている方も多いと思います。ペナルティには様々ありますが、代表的なものが各種加算税、そして延滞税です。本記事ではそんな加算税と延滞税について詳細を解説します。
1.加算税・延滞税とは?
ペナルティとして課される加算税は4種類あります。延滞税と合わせて解説していきます。
なお、本記事では触れませんが「利子税」という附帯税もあります。利子税は税務署との合意で納付の延長が認められた場合に課されるペナルティです。
①無申告加算税
無申告加算税は本来の申告期限までに申告を行わなかった場合に課される加算税です。無申告加算税は原則として以下のように計算されます。
無申告加算税の計算式
①納税額が50万円までの部分
納税額×15%
②納税額が50万円を超える部分
納税額×20%
原則は上記となりますが、無申告加算税はケースごとに免除もしくは軽減の定めがあります。
軽減は「完全に自主的に期限後申告した場合」と「税務調査通知後に期限後申告した場合」の2パターンに分かれます。
無申告加算税の軽減
①税務調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合
納税額×5%
②税務調査の事前通知の後に期限後申告をした場合
【納税額が50万円までの部分】
納税額×10%
【納税額が50万円を超える部分】
納税額×15%
最後に免除の要件です。次の要件をすべて満たす場合には無申告加算税は免除されます。
無申告加算税の免除
- 申告期限から1ヶ月以内に自主的に期限後申告をしていること
- 期限内に全額納税していること
- 過去5年に無申告加算税又は重加算税を課されたことがなく、かつ無申告加算税の免除を受けていないこと
②過少申告加算税
過少申告加算税は申告期限内に申告を済ませていた場合において、以下のいずれかに該当する場合に課される加算税です。
- 本来の納税額より少ない税額で申告していた場合
- 本来の還付金額より多い還付金額で申告していた場合
上記の場合には修正申告をすることになりますが、その修正申告を行ったタイミングによって免除・軽減の定めがあります。
過少申告加算税の計算式
税務調査後または税務署からの更正後に修正申告を行う場合
①新たに納める税金が当初の申告納税額と50万円のいずれか多い金額を超えない部分
新たに納めることとなった税額×10%
②新たに納める税金が当初の申告納税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分
新たに納めることとなった税額×15%
過少申告加算税が軽減されるのは「税務調査の事前通知後に修正申告を行った」場合です。
過少申告加算税の軽減
①納税額が50万円までの部分
納税額×5%
②納税額が50万円を超える部分
納税額×10%
最後に過少申告加算税が免除されるケースです。過少申告加算税は「税務署の調査を受ける前に自主的に修正申告」をすれば免除されます。
なお、修正申告を行った場合に生じた新たに納める税金の納付期限はは、修正申告書を提出した日となるため注意が必要です。
③不納付加算税
不納付加算税は、源泉所得税を期限内に納付したかった場合に課される加算税です。計算方法は下記になります。
不納付加算税の計算式
- 自主的な納付…納税額×5%
- 税務署から告知された後の納付…納税額×10%
納付が1日遅れただけで5%の加算税が付くため、延滞税と比べて非常に厳しいペナルティとなっています。
なお、源泉所得税を納付期限から1ヶ月以内に納付した場合、不納付加算税は免除されます。ただし過去1年間に期限後納付がないことが前提条件となります。
④重加算税
重加算税は仮装隠蔽などの悪質な行為が判明した場合に課される加算税です。税率は以下の通りで、全てのペナルティの中で最も重い負担です。
- 無申告の場合…40%
- 過少申告の場合…35%
- 源泉所得税の不納付の場合…35%
なお、仮装隠蔽があると7年間さかのぼって追徴されるため加算税だけでも相当な負担となります。そもそも悪質な行為を行わなければ済む話ですが、一応頭に入れておきましょう。
延滞税
延滞税は文字通り税金を延滞した場合に課されるペナルティです。加算税とは違い延滞した日数により金額が変動します。
延滞税は本来の納付期限を基準とし、「納付期限の翌日から2ヶ月以内」と「2ヶ月超」で税率が大きく変わります。
延滞税の税率
- 納期限の翌日から2月を経過する日までの期間…2.4%
- 上記①以降の期間…8.7%
※令和5年度の税率です
なお、延滞税の税率は「特例基準割合」を基準に決まります。特例基準割合は銀行融資の平均金利が基準となっており、毎年多少変動します。
では実際に延滞税の計算をしてみましょう。
延滞税の計算例
【条件】
・本税20万円
・本来の納付期限=5月31日
・納付日=8月31日
【延滞税額】
(20万円×2.4%×61日/365日)+(20万円×8.7%×31日/365日)=2,279円→2,200円(100円未満切り捨て)
なお、修正申告をした場合には、修正申告書の提出日までは低い税率で延滞税が計算され、修正申告書の提出日から2ヶ月以降から高い税率で計算されます。